東アジア選手権(7月31日〜8月7日/@韓国)に出場した日本代表の駒野友一と北朝鮮代表・李漢宰を除き、フィオレンティーナとの親善試合後を束の間のオフで過ごしたサンフレッチェ。
8月4日(木)に集合したチームは6日(土)から12日(金)まで北海道キャンプ(@ヤマハリゾートキロロ森の広場)で汗を流した。7日(日)の練習中、服部公太が接触プレーで転倒し、右ひじを脱きゅう。小樽市内の病院で応急処置を施した後で1人帰広。広島での診察は全治3週間というアクシデントに見舞われたが、「1対1の強化」と「最後まで攻めきる」をテーマに置いたキャンプの手応えをお土産にチームは広島へ戻った。
13日(土)のファン感謝イベントを経て、15日(月)から広島で最終調整。
森崎和幸と佐藤寿人曰く「トーナメントの決勝のような気持ちで戦う」という中断明け初戦の鹿島戦。
カシマスタジアムに駆けつけたサポーターグループは、クラブに許可をとりつけて自ら大型ユニフォーム・フラッグ「ビッグオーレ」を運び込んだ。
ゴール裏コンコースで総勢200名のサポーターが決起集会。気勢を上げた後、選手入場と同時にビッグオーレを掲揚。横幅36m 、100kgの重量があるビッグオーレが初めて広島ビッグアーチを出て、サポーターの熱意と尽力により、カシマスタジアムで堂々の登場を果たした。(写真はビッグアーチ掲揚時の資料写真)
全治3週間の診断だった服部公太が痛めた右ひじをプロテクターでガードして強行出場したサンフレッチェに対し、アントラーズはセリエA・レッチェへの移籍問題を抱える小笠原満男が出場を回避する緊急事態。
チーム事情を反映するように、立ち上がりからペースをつかんだのはサンフレッチェ。
前半16分、ガウボンのパスをディフェンスの裏で受け、ゴールに向かって飛び出した佐藤寿人を岩政大樹が止めに入ったところ、これを主審の岡田正義はレッドカードのジャッジで岩政は一発退場。
しかし、これまで数的優位をチャンスにつなげる試合運びが出来ず、逆に煮え湯を飲まされる結果を招いているサンフレッチェ。
('04年9月11日の2nd 第4節・清水戦@日本平では前半27分に戸田和幸が2枚目のイエローで退場したが終わってみれば0対3の信じられない完敗。'04年11月28日の2nd第15節・浦和戦@埼玉では、前半8分にネネがレッドで一発退場したが、結局0対1の敗戦。)
案の定、今節もここから10人のアントラーズにややペースを握られた印象だったが、前半ロスタイム、上がって行く森崎和幸から大木勉にパス。これはギリギリのところでカットされるが、こぼれたところをガウボンが強烈なシュート。ボールはわずかに外れるが、嗅覚するどく詰めていた佐藤寿人がスライディングしながら押し込み、先制ゴール!1対0。リードして試合を折り返した。
後半も立ち上がりから攻勢に出るサンフレッチェだったが曽ヶ端準の好セーブに阻まれ、なかなか追加点を奪えない。手をこまねく相手を前にトニーニョ・セレーゾ監督は勝負と見たか、後半16分、アレックスミネイロと名良橋晃を投入。4−3−2で巻き返しを狙ったところ、この采配が的中。25分、メインスタンド側からのCK。アンラッキーなクリアミスをアレックスミネイロに頭で押し込まれ、1対1。同点とされてしまう。
しかし、サンフレッチェは諦めない。31分、前田俊介とくわ田慎一朗を投入。直後からゴールに迫る前田のプレーに対し、鹿島は守勢にまわらざるをえない展開。44分、大岩剛が2枚目のイエローで退場。土壇場でついに2人目のセンターバックを失ってしまう。
ロスタイムに入った。前田俊介は得意なかたちで服部公太からボールを引き出すと、寄せのないゴール前を横へ斬り込んで冷静にタイミングをうかがう。
シュートを打たせまいと内田潤が飛び込むが、前田俊介はそれより早く左足でシュート。ゴール左の枠ギリギリを狙ったボールはフワリと浮いて、狙い通りゴール左スミにドンピシャ。
さすがの曽ヶ端もこれは想定外か、頭上を超えたボールの軌道に呆然とするしかなかった。
スコア2対1。諦めない気持ちの入ったチームプレーと恐るべし19歳のストライカー、そしてビッグオーレを自ら運びスタンドで戦ったサポーターが一丸となって奪った勝利。
この勝ち点3はレギュレーションに沿ったそれ自体が持つ価値よりも遥かに大きい。
「今節の石橋委員長の感想は「石橋日記/8月21日(日)」をご覧になってください。」