添付録 美術館さんぽ 12 執筆者:「鳥の足」コート

12.いい企画。


 川俣正という作家がおこなった東京プロジェクトという試みがあります。
 3つの試みからなるそのプロジェクトは、都市の隙間にエアポケットのように住んでしまおうというもので、その中の一つが11月まで比治山の現代美術館に来ていました。

 「自動販売機の家」というその作品は、1年ほど前に実際に東京の閉店してしまったガソリンスタンドにつくられたもので、角地に面したガソリンスタンドのその角に自動販売機を2つ置き、その2つの自動販売機の後ろに出来た三角形のスペースにスレートなどの簡単な構造で家を造ってしまうのモノです。
 電気は自動販売機から借用する。
 何も考えずに通ると「倉庫かな?」と思うスペースに1週間人が住むのです。

 妙な試みですが、あと2つは似たようなもので、それぞれ広告塔(ビルの上にある奴)と工事用フェンスの裏に住みます。

 で、その「自動販売機の家」が現代美術館に展示してあったんです。屋外展示で。
 「ほーっ。これかぁ」とグルリとまわりをまわってみる。
 これが去年東京だったら本当に自販機としてジュース売ってたんだよなぁ、と感心していると、妙なものに目がいった。
 「自動販売機の家」から美術館の建物に白いものが伸びている。電気の配線をしまっておく『カマボコ』だ。
 電気の配線・・・?
 振り向くと自販機の一つに張り紙 <使用中止>
 使用中止 ・・・?

 じゃあ、他のは使えるの?と見てみると、自販機に赤いランプで<販売中>。
 動いてるよ。かえるよ。

 今でも作家のコンセプトに参加できる作品のエッセンスが生きているいい企画でした。

99/11/12

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