添付録 未完成ショートショート 4 執筆者:☆PICO★

かゆみ

人類は進歩に進歩を重ね、文明はますます高度なものになっていた。それに
ともなう自然破壊は限界を超え、もはや、人間なしではすべての生物は生存
できない状態になっていた。
当然、弱い生物は死滅し、生命力の強い生物でさえも、人間への害が全くな
いという保証がない限り、絶滅へと追い込まれた。ネズミ・蠅・ゴキブリと
いった比較的生命力のある生物でさえ、人間はその存在を許可しなかった。
蚊もこうして全滅した。
そんな未来のある日・・
「おい。皮膚にかゆいところをつくって、そこをボリボリとかくのはすごい
快感だぜ!」
と、偉大な発見をした人間が現れた。
「野蛮で刺激的な快感を呼ぶ」
このキャッチコピーで、かゆみ出し薬が発売された。この商品は爆発的に流
行し、かゆみの段階がきついものほどよく売れた。
さらに、社会のニーズに応えるように、超ミニ蚊型飛行ロボットなるものが
発明された。この飛行ロボットは、絶滅して人々から忘れ去られていた蚊の
かわりを見事にやってのけた。背中のミニスピーカーからは「ブーン」とい
う羽音が出た。胴体の下にはかゆみ出し薬の注射器が取り付けられていた。
あっという間に、各家庭に普及する大ヒット商品となった。
金持ちは、大量にこれを買い込んだ。そして、部屋に客を呼んではこう言う
のだった。
「どうだ、すごいだろ。この部屋には百台も飛ばしているんだ。さあ、どこ
でも好きなところを遠慮なく刺させていいぞ。」

1999/1/10

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