添付録 未完成ショートショート 3 執筆者:☆PICO★

願いごと

南の島の星の砂、銀蛇の皮、雪男のへそのゴマ、瑠璃色のサファイヤ、黒薔薇の
花粉、人魚の涙・・ P氏は、全財産をなげうって、その本に書いてあるものを
すべて集めた。
材料を乾かし、細かく砕き、混ぜ合わせ、最後に人魚の涙にとかして、床に描か
れた幾何学模様の中央に、その魔法の液体の入った容器を置いた。そして、容器
の上に、床に描かれたのと同じ幾何学模様の黒っぽい布をかぶせて、妙な呪文を
となえ始めた。
しばらくすると、ボッと煙が立ちのぼり、黒っぽい布が持ち上げられた。そこに
は、すでに何者かの姿があった。
P氏はそいつに向かって呼びかけた。
「おまえが3つの願いごとを何でもかなえるという悪魔か?」
P氏は魔法の本を手に入れ、3つの願いごとを何でもかなえるという悪魔を呼び
出すことに成功したのだった。悪魔は言った。
「そうだ。オレ様がその悪魔だ。さあ、何でも好きなことを言うがいい。3つだ
けかなえてやろう。」
「まあ、待ってくれ。私はまだ、何をたのもうかなどと考えていないんだ。」
「何だと!?まだ、考えてなかったのか!?早くしろ。オレ様は気が短いんだ。
怒らさないほうがいいぞ!」
「怒らないでくれよ。そうだ。おまえも今までにたくさんの願いごとをかなえて
きたんだろう?何かいい案はないのか、少しは教えてくれてもいいはずだ。」
「よし、教えてやろう。一度しかいわないからよく聞くんだ。貧しい少年を王子
にしてやる。宝島の地図を渡す。庭から山のような金貨を掘り出させる。美人と
の結婚。不老不死。出世というのもある。ま、多いのはこんなところだ。」
「わかった、ありがとう。よし、ひとつめの願いごとは美人との結婚にしよう。
すぐにかなえてくれるだろうな・・」
P氏はにやりと笑って言った。なにしろ全財産をなげうって呼び出した悪魔だ。
3つの願いごとは慎重に使わなければならない。
悪魔は願いごとを聞いてニヤリと笑った。
「できないな。オレ様はもう3つの願いごとをかなえてしまった。待ってくれと
言ったから待ってやったし、怒らないでくれと言われたから怒るのもやめた。そ
して、願いごとの種類も教えてやったから3つの願いはすべてかなえた。」
「何だって」
「それから、オレ様はもう、二度とおまえの前に現れることができないことも教
えておいてやるよ。ふっふっふっ。」
悪魔は、P氏をからかって煙に包まれていった。やがて煙も消えてしまった。

1999/1/9

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