添付録 死にゆく者を見つめる目 1 執筆者:すや

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平成8年、10月末。
ピリリリリ、ピリリリリ。
突然、私の携帯電話が鳴った。
「はい、陶山ですが。」
「あ、透か。今いいか?」母からであった。
「どしたん?」
「ちょっと大事な話があるけー、今晩家に寄ってくれんかのー。」
妙に母の声がこわばっている。
「そりゃー、ええが、なんかあったんね。」
私は、怪訝に思い、聞き返した。
「お父ちゃんのことなんじゃが。まあ、とりあえず、来てくれ。」
私は、数年前に結婚し、実家から出て居を構えている。最近は、割と近いところに住
んでいながら、両親にはご無沙汰だった。
「ああ、わかった。仕事が終わったら、寄るけー。」
私は、そう言って、電話を切った。
その瞬間から、父の身に何かあったのだろうかと、愉快ならざる想像が私の頭の中を
駆け巡り始めた。
「まあ、行ってみる他はあるまい。」
私は、そう、ひとりごちた。

1998/10/11

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