添付録 大ちゃん日記 21 執筆者:大ちゃん

微睡みの中で

夜、暗い空に輝く星を見つめていると、不思議と気持ちが落ち着いてくる。
星座を思い浮かべながら、一つ一つの星を見つめていると、もう遙か昔になってしまった小学生の頃の思い出が蘇ってくる。
それも、綺麗に彩られた懐かしい思いでばかりである。
何故か、その時同時にあったはずの困難や、心配事は、何事もなかったかのように掻き消されてしまっている。
もう今となっては、何の責任も感じなくて良い、そんな状況の中にあって当時の出来事は、自分に都合の良いところだけが強調され、鮮明な形で残っているのである。
空を飛んでいるような、ふわふわと漂うように感じる記憶の中で、あちこちを飛び回っている。
記憶は、深い湖の底から沸き上がってくる泡のようにゆっくりと、しかし確実に水面へと鮮明な思い出となって広がってくる。
揺れる波紋のように繰り返し繰り返し目の前に押し寄せてきては、遠くに去っていく。
だんだんと、ぼやけてきて、又新しい記憶となって現れる。
その記憶の繰り返しが、又新しい思い出を呼び覚ます。
星を眺めていると、何時も何時も蘇る思い出。
その鐘の音、鐘の響きがゆっくりと消えていく空気の中で、ただ、漂って居るだけの自分。
一体何処に身を置いているのか分からない程に、ゆらゆらと揺れている自分。
その不安定な感触が、しかし又妙に心地よい。
暖かな日の光を浴びて、ゆらゆらと揺れるゆりかごに揺られているような、どこか、訳の判らない明るさの中で、揺れている自分。
そんな自分を自分自身が何も決められないで居る。
一体何をしているのだろう。
一体何処にいるのだろう。
何時も感じている気持ち良さなのに、何故か何処で感じたものか分からない。
思い出せないもどかしさだけが、行ったり来たりしている。
揺れている記憶、揺れている想い出、とてつもなく大きな空間での揺らぎ。
遙か昔の、定かならぬ想い出。

1998/12/31

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